4月4日

午前中の仕事を終えて健康診断を受けさせてもらってきた。ありがたいなー。

大きな会場で会社の人がみんな同じ健診着を身につけて、1番から17番までの検査室をぐるぐると忙しく回っていておかしかった。いま自分を勘定するとしたら単位は台とか個とか、なんとなく人ではない気がする。人なんだけど。できるだけ社会にとって良い個体になっていけたらいいな〜とぼんやり思う。

もっと忙しいであろう看護師さんにこの一年考えもしなかったようなことを心配してもらったり、「楽にしてください」「お疲れ様でした」という言葉を何度も掛けてもらったりして、一つのお礼を伝え終わらないうちに新しく親切にしてもらうので、全部を受け止めきれなくなる。

そこにいる自分が人じゃない気がしてくるのは、他者からただただ受け取る一方で、自分は何一つ差し出せないままたくさんの事が次々進んでいってしまうのが分かるからなのかもしれない。あまり直視することはないけど、自分が何か差し出しても差し出さなくても社会には影響しない。その中で差し出すという行為は、きっと自分で自分にそこにいる事を許すためのものでしかない。

 

桜が見頃の街を散歩して帰った。皮膚科にも寄って、欲しかった薬をもらった。信号待ちの横断歩道に、ビルに隠れた大木から桜が舞ってきてスノードームの中にいるみたいだった。途中暑くなったのでコーヒーをテイクアウトしようと思ってお店に入る。コーヒーゼリーがたくさん並んでいて美味しそうだと思ったけど、店内用のガラスの器だったので買わなかった。買えばよかった。帰り際に店員さんたちが珈琲ゼリーを見ながらから「これ全部破棄ですか?」と話しているのが聞こえた。

赤から青に変わる空と陸橋、花見シーズンらしく提灯をつけた遊覧船を眺めながらこの街が好きだと思う。